個人の観察記録が「カブトムシの常識を覆す」学術研究に貢献するまで
2021年、カブトムシの「夜行性という常識」を覆す研究が、大きな話題になったことを覚えているでしょうか。当時小学5年生の男の子が第一著者となり、山口大学の小島渉先生と一緒に、世界的な学術誌に論文を発表した、あのニュースです。 実は、筆者がツイッター(現在のX)に投稿していた「シマトネリコに群がるカブトムシ」の目撃情報が、この研究をサポートする材料として活用されました。 一愛好家の観察記録が、どのようにして学術研究と繋がったのか。その経緯を紹介します。
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はじまりは一通のメール
2021年1月、山口大学の小島渉先生からいただいた一通のメールがはじまりでした。先生は、外来種であるシマトネリコがカブトムシの概日活動パターンに及ぼす影響について研究されており、2019年7月に筆者がツイッターに投稿した「近所のシマトネリコに、大量のカブトムシが群がっている」というツイートが目に留まったそうです。 いただいたメールは、当時の詳しい状況を知りたい、という内容でした。 小島先生からのメールを受けて、正確な場所と日時、おおよその個体数、その他ツイート以外の写真など、当時の記録をまとめて提供しました。 これらの記録は、特定の条件でカブトムシが昼間も活動するという事実が「特定の場所だけの現象ではなく、各地で起きている一般的なパターンである」ことを裏付ける、有力なデータとなったようです。
論文の「根拠データ」としての記載
2021年9月、研究成果は世界的な学術誌『Ecology』に掲載されました。 掲載誌: Ecology タイトル: An introduced host plant alters circadian activity patterns of a rhinoceros beetle (外来植物がカブトムシの概日活動パターンを変化させる) 著者: 柴田 亮(杉戸町立杉戸第三小学校)・小島 渉(山口大学) DOI: 10.1002/ecy.3366 リンク: https://esajournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ecy.3366 この論文の参考文献(References)には、三鷹市での目撃例が、筆者からの情報提供による記録として掲載されています。また、巻末の謝辞(Acknowledgments)にも、情報提供者として名前を載せていただきました。 個人の観察記録が、正式な論文の「根拠データ」のひとつとして学術研究のお役に立てたのは、とてもうれしいことです。
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おわりに
普段の何気ない行動が、ひょんなことから社会の役に立つこともある。今回のことで、そんな面白さを知りました。 大人が必死に昆虫を撮る姿は、はたから見れば変かもしれません。しかし、そんな一愛好家の趣味が、学術的な研究と繋がることもあります。 これからは周りの目なんて気にしません。堂々と昆虫観察を楽しんでいこうと思います。

